献体と臓器提供と尊厳死

献体と臓器提供と尊厳死

目次

1.献 体

献体とは、医歯学系の大学での人体解剖学の研究に役立たせるために、遺体を提供することです。

献体は、無条件・無報酬であることが条件です。希望する場合は、生前に献体登録をしておきます。

登録に際しては、家族全員の同意が必要です。

本人が同意していても、家族の同意が得られなければ献体を実行することはできません。

献体を希望する方は、登録する前に家族の同意を得ておきましょう。同意が必要な家族は、配偶者・親・子・兄弟姉妹などです。

献体は死後、48時間以内(大学は24時間以内を希望)を目安にしています。

通夜・告別式は行えます。しかし、引き取り前に通夜・告別式を行うことができない場合は遺体のない状態で通夜・告別式を行うこともあります。遺体が戻るまでの期間は1~3年かかります。

2.臓器提供

1997年に臓器移植法が施行されました。心停止後だけでなく、脳死後の臓器提供も認められました。
(臓器提供の場合に限り、脳死は人の死であるとの解釈)

また、2010年7月17日からは、本人の臓器提供の意思が不明な場合も、家族の承諾があれば臓器提供できるようになります。これにより、15歳未満の方からの脳死下での臓器提供も可能になりました。

脳死後から提供できる臓器は、心臓・肝臓・肺・小腸・腎臓・膵臓・眼球(角膜)です。これに対し、心停止後に提供できる臓器は、腎臓・膵臓・眼球(角膜)です。

また、臓器移植法で規定されていない、皮膚・心臓弁・血管・耳小骨・気管・骨などは、家族の同意を得ていれば、提供できます。

臓器提供には目安となる年齢があります。心臓は50歳以下、肺は70歳以下、腎臓は70歳以下、膵臓は60歳以下、小腸は60歳以下です。なお、眼球(角膜)提供には年齢制限はありません。

脳死での臓器提供と心停止後での臓器提供は、本人の意思がなくても、家族の同意を得ている場合には実施できます。

臓器を提供したい方は、「臓器提供意思表示カード(ドナーカード)」に脳死後の提供と、心停止後の提供を記入します。

カードは、役所・郵便局・コンビニエンスストアなどにおいてあります。

3.尊厳死

現代医学では、治る見込みのない病気で苦しんでいる病人に対して、延命治療を実施しています。

「単なる延命治療は望まない」

「植物状態になったら生命維持装置を外してほしい」

「自然に死にたい」

このように考える方が増えています。

そのような人間としての尊厳ある死を自己決定しようというのが尊厳死です。

尊厳死を希望する場合、遺言と同じく文書を作成しておく必要があります。内容として、「無意味な延命治療の拒否」、「苦痛緩和のための処置の実施」、「植物状態での生命維持装置の拒否」、「行為の責任は本人にあること」を盛り込みます。

文書は、家族や医師に提示しておきます。医師も尊厳死を承諾して延命治療を実施しないケースが多くなってきています。

※当事務所は、尊厳死を希望される方のために、尊厳死宣告書の作成手続を代行いたします。
公正証書遺言・任意後見契約とセットで手続いたします。
料金表参照。