相続よろず相談所

資産家の相続対策

資産家の相続対策

目次

1.資産家の相続対策とは

富裕層といわれる人たちにとって最大の関心事は、「相続税がどれくらいかかるのか」ということです。

保有する不動産や預貯金、株式等の資産を家族に承継させるためには、相続税を軽減させたいというのが本音です。そのためには、どのような対策を取ればいいのか考える必要があります。

相続税対策のために始めることは、財産リストを作成することです。

不動産なら、土地や家屋、マンション等。金融資産なら、預貯金や株式、投資信託等。この他にも会員権や美術品等の資産も書き込みます。死亡保険金や死亡退職金も書き込みます。

保有する資産をすべて書き込んだら、現時点での相続税評価額を計算してみます。

財産リストを作成すると、保有している資産の割合が把握することができます。不動産が多い場合は、相続対策として、遺産分割対策や納税資金対策が必要となります。

不動産オーナーの相続対策参照

金融資産の割合が高い場合は、不動産に比べると相続税の評価額が高くなります。預貯金や現金、株式、投資信託等は相続発生時の残高がそのまま相続税の評価額となるためです。1億円以上の金融資産があるならば、相続対策として節税対策が必要不可欠となります。

そこで保有資産の組み換えがポイントとなります。

金融資産を多く持つ場合は、不動産を活用することで相続税評価額を下げ、節税することが可能となります。同時に遺産分割対策や納税資金対策も可能となります。

2.タワーマンションの購入とは

相続税の節税対策として、金融資産でタワーマンションを購入するというのが流行っています。

これは、マンションは、建物を複数の区分所有者が所有し、その敷地も区分所有者の共有財産となります。相続税の評価上、同じ敷地でも住戸数が多いほど、1戸当たりの土地の持ち分は低くなります。したがって、高層のタワーマンションは1戸当たりの土地の持ち分は低くなり、敷地の評価額は低くなります。

また、専有面積が同じなら、低層階も高層階も相続税の評価額が同じため、時価の売買価格と相続税評価額の差が大きい高層階ほど相続税の節税に有利とされていました。

ただし、2017年の税制改正で毎年の固定資産税のみ、高層階は今までよりも高くなり、低層階は低くなります。

対象となるのは、2017年4月以降に販売される高さ60m超のタワーマンションです。

それでもタワーマンションの購入は、節税効果が大きいです。大都市のタワーマンションの高層階は1億円以上する物件も多数あります。

そのため、タワーマンションの賃料は非常に高額となるので、入居者が簡単に見つからないデメリットもあります。

そこで、おすすめなのが、ワンルームマンションの購入です。

不動産投資による相続対策参照

節税対策でのマンション購入の場合、ローンでなく、手持ちの金融資産で購入するのが、最も安全な資産の組み換えとなります。

3.賃貸アパートや賃貸マンションの1棟買いとは

預貯金の金融資産の比率が高い場合、賃貸アパートや賃貸マンションの収益物件を購入することも相続税の節税対策となります。ローンを組んで購入する方法もありますが、余裕があれば、現金で一括購入する方が、それなりに収益を確保することができます。

例えば、賃貸アパート1棟を1億円で購入すれば、相続税の総額は下がりますし、賃料収入で相続税の納税資金に備えることもできます。

賃貸アパートや賃貸マンションの購入後の賃貸経営は地元の管理会社が入居者の募集から家賃の徴収等を代行してくれますので、委託する方が得策です。

賃貸アパートや賃貸マンションを購入する場合、必ず現地確認を行いましょう。駅からのアクセスや周辺環境を確認しておくことが重要です。

4.子や孫に住宅購入資金を贈与

相続税対策として、代表的なものとして生前贈与があります。

元気なうちに贈与することで、相続財産が圧縮されるので、相続税が軽減されます。生前贈与を有効活用することにより家族全体で保有する資産を組み換えることにつながります。

生前贈与は金銭でも不動産でも行うことができます。ただし、贈与税の非課税枠を超えて贈与すると贈与税が課税されます。同じ金額であれば、相続税よりも贈与税の方が高い税率が課税されます。

そこで、まとまった資金を贈与するときには、「住宅等取得資金にかかる贈与税の非課税措置」を活用します。

子や孫がマイホームを取得あるいは増改築する際に最大で3000万円(平成29年9月まで)まで贈与税が非課税となります。

また、住宅取得資金贈与の他にも教育資金の一括贈与や結婚・子育て資金の一括贈与を併用することで相続財産を圧縮することにより相続税の節税にもつながります。

生前贈与の使い方参照

5.遺産分割対策として、自宅の買い換え

実家が高齢の両親だけ、あるいは父母どちらかだけで暮らしている場合、家が広すぎたり、駅や商店街から遠いと生活そのものに不便を感じているケースも多いです。その場合、実家を売却して、都市部のマンションに住み替えたり、子の家の近くに住む等を検討してみるのもよいでしょう。

子が2人いる場合、金融資産に余裕があれば、自宅を売却して、居住用と賃貸用のマンションを2戸購入する方法もあります。相続発生時にマンションを1戸ずつ相続することができるので、遺産分割対策になります。一戸建て住宅よりもマンションは相続税評価額が低くなるメリットもあります。

自宅の不動産と金融資産を活かして分割しやすい不動産に組み換える方法は、遺産分割対策と節税対策につながります。

また、金融資産の一部を生命保険に加入することで節税につながります。

生命保険の死亡保険金は、相続時にはみなし相続財産として相続税の対象になります。しかし、受取人が相続人の場合、保険金から(500万円×法定相続人の数)の金額を控除することができます。子3人が受取人の場合、死亡保険金が2000万円なら、1500万円が非課税となり、相続税の相続財産に加算する金額は500万円となります。

生命保険の活用による相続対策とは参照