■住民自治社会の産物と言われる地域住民による葬儀とは!
超単身社会が進行しています。
老若男女問わず単身者にとっての最大のリスクは、孤独死です。
単身者が在宅中に具合が悪くなっても、誰にも気づかれず、そのまま亡くなってしまうケースが多いです。
そのようなリスクを減らすためにも、政府や行政も孤独死防止を掲げて取り組んでいますが、掛け声倒れになっており、現実は対応が難しいです。
民間企業でも見守り活動を行う事業者が増えています。
それでも、どうしても片手間に行うのと採算重視になると後回しになってしまい、本気度が欠けています。
そこで、重要となってくるのは、地域住民です。
地域の中で、孤独死防止活動を行う団体もあります。
東京都立川市の大山自治会では、「孤独死ゼロ」を掲げて自治会活動に取り組んでいます。
全国からも注目されており、当方も取材をさせていただきました。
この自治会では、孤独死防止活動を皮切りに単身者の居場所づくりとして、サークル活動を行っています。
また、単身者が働く場も提供しています。
それだけでなく、終活にも取り組んでいます。
終焉ノート(エンディングノートのこと)を各世帯に配布しています。
そして、この自治会が何よりも誇れることは、自治会で葬儀を行っているのです。
自治会で行う葬儀のことを自治会葬と言います。
葬儀というのは、葬儀社でないと行うことができないと思う方もたくさんいます。
でも、葬儀を行うための許可は不要です。
ですから、自治会であっても、葬儀を行うことは可能です。
ちなみに葬儀を行うためには、会場を確保することと葬儀に必要な祭壇や棺を用意することが必須です。
自治会の場合は会場は自治会の会館があります。
祭壇は、行政のものを利用していますが、自治会の予算で購入できるのであれば、繰り返し利用できますので便利です。
葬儀の準備は自治会の役員やスタッフで対応できます。
しかも、費用は3万2千円という安価な金額でできるので、安心です。
ただし、自治会葬は、この大山自治会以外では、あまり浸透していません。
自治会葬を行うためには、以下の要件が必要です。
1.地域コミュニティの基盤が盤石であること
自治会や町内会等の組織があって、なおかつ、相互扶助の精神をもって、活発な活動をしていることが大前提です。
2.強力なリーダーがいること
組織の中にはリーダーが必要です。
会長ですが、カリスマ性を発揮するくらいのパワフルなリーダーが求められます。
3.リーダーを支えるサポーターがいること
リーダー一人の力では、限界があります。
そこでリーダーを支えるサポーターが必要不可欠です。
リーダーの意思を汲み取り、支えながら、一般メンバーを引っ張る存在です。
以上です。
今のご時世では、自治会葬を行うだけの地域コミュニティはほとんどありません。
ですが、困ったときにはお互い様という相互扶助の精神がまだ残っているのであれば、少しづつでも、浸透していくことが望ましいです。
自治会葬とは、住民自治社会の産物であると言えます。
自分たちの住む地域でも、このような地域力の高い事業ができることを支援していきたいものです。
